少し前の話になりますが「日本のマンションにひそむ史上最大のミステーク」(赤池 学 , 江本 央 共著/TBSブリタニカ )という本が話題になり外断熱ブームが起こりました。
外断熱とは本来、鉄筋コンクリート(RC_Reinforced Concrete)という熱容量の大きな構造体を外側から断熱材で包むことで、外気温の影響を受けにくい建築の構法です。うまく設計すれば、夏涼しく、冬暖かい建築になります。
しかし外断熱ブームにのって売り上げを増やしたいハウスメーカーや工務店などが、断熱材の外張り木造住宅を、意図的に「外断熱」と混同させ、セールスコピーとして乱用するという現象が発生し、現在でも続いています。

建築のディテールに関心がある設計者の愛読書で『ディテール』(
彰国社)という季刊雑誌があります。(世の中の半分以上の設計事務所は、設計料、工期に余裕がないため、ディテールをあまり書きたがりませんから、この雑誌を大多数の設計者が読んでいるわけではありません)この雑誌の148号(2001年春季号)で室蘭工業大学の鎌田紀彦教授らが『外断熱工法の設計とディテール』という特集を執筆されています。
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鎌田紀彦氏は、北海道で長年にわたり高断熱・高気密の住宅構法などを研究されています。
参考_家づくり常識のウソ)
鎌田氏はその中で「木造外張り断熱」業者のセールスコピーが、一般消費者に「RC外断熱」と意識的に誤解させている点を「大きな問題である」と指摘しています。
外断熱に関心があり正しい知識を求めておられる方は、この雑誌を読まれることを強くお勧めします。現在までのところ「外断熱」について最も良く纏まった専門書です。ただし設計者にとっても人気のあるバックナンバーなのか、彰国社にはもう在庫がないようです。神保町の
南洋堂などの建築専門書店、古書店、大学図書館などで探してもらう必要があります。
このブログでも「外断熱」について書いてみたいと思います。(業務のあいだを縫ってですので、だいぶ時間がかかるかもしれませんが)